思いを紡ぐ、匠の素顔

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ロギール アウテンボーガルト。彼の名前をご存知だろうか。オランダ人でありながら、高知県旧伊野町にて原料栽培から紙漉きに取り組む手漉き和紙作家である。それ以外でも、和紙工房「かみこや」代表、 土佐の匠、 高知工科大学客員教授と、様々な顔を持つ異色のオランダ人である。彼に佇む物語に惹かれ、インタビューを行わせていただいた。

ゼロから生み出す和紙の魅力

和紙の原材料となる、植物を育てるところから、彼の創作活動は始まっている。彼自身も、オランダから日本の高知県という場所を創作活動の拠点と定めた時から、その活動が生み出されている。

「受け入れる努力、受け入れられる努力」彼がこの土地で生活することへの思いを表した端的な言葉ではあるが、そこには彼の和紙に対する想い、和紙を生み出した土地、そこで生活する人々への尊敬の気持ちがひしひしと感じられる。

ロギール氏の和紙づくりの話を聞いていると、原材料となる植物への想いも伝わってくる。インタビュー中、近くにあった植物に触れていただき、何気ない質問をさせていただいた。この植物でも和紙は作れるんですか?

彼は笑顔で答えてくれた。「創れますよ。この植物だけでは難しいけど、いろいろな植物と合わせれば、この植物も和紙として顔を見せてくれます。」

「これからです」への想い

彼が関わるプロジェクトは和紙をつくることに留まらず、大きな広がりを見せている。建築家の隈研吾氏や内藤廣氏との作品作りへにも精力的に携わっている。彼の和紙は書くための紙という概念に捉われず、壁紙やランプシェードなど光との融合を楽しみながら、新しい次元へと進化している。

彼がインタビュー中、「アーティスト」という言葉を口ずさんだ。私たちも話を聞いていた時に一番しっくりくる言葉のように感じられた。

作るという言葉では語ることができない、創作への想いはとどまる事を知らない。彼は今年63歳であるが、「これからです」という言葉を何度も口にしていた。その力強い言葉に、年齢を考えてしまった自分自身が恥ずかしくなる思いだった。

そして、「これからです」という彼の言葉には新たな作品が生まれることへの、大きな期待値も含まれている。銀座でミツバチを育てようという言葉で立ち上がった「銀座ミツバチプロジェクト」。彼は5年前からこのプロジェクトに参加し、銀座のビルの屋上でミツマタという植物を育てている。実はこの植物を使用し、来年銀座にできる新たなホテルのエントランスを彼の和紙が彩ることが予定されている。

「これからです」この言葉に、私たちも大きな期待と可能性を感じ、2019年に完成する新たな作品を楽しみにインタビューは終了した。

撮影・インタビューは東京の新丸の内ビルのテラスで行われたが、眼下に広がる東京駅の眺望に「東京駅のデザインはアムステルダムの駅がモデルになっているんです。こんなに綺麗じゃないけどね。」故郷への哀愁とアムステルダムの駅をオマージュしていることを誇らしげに語る彼の笑顔に、こちらも自然と笑みがこぼれた。「スマホで写真撮ってもらえますか?お母さんに見せてあげたい」

カメラマンが無条件に撮影に協力したことはいうまでもない。

Rogier Uitenboogaart
ロギール アウテンボーガルト
http://rogier.jp/
1955年オランダ・ハーグ市生まれ
手漉き和紙作家 / 土佐の匠 / 高知工科大学客員教授
紙漉き体験民宿「かみこや」代表
https://kamikoya-washi.com/
〒785-0603高知県高岡郡梼原町太田戸1678
TEL/FAX 0889-68-0355

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